土木苫小牧中央インターチェンジ
今後、道路工事の軸になるICTの活用。
ICTで若手の活躍が光った
苫小牧中央IC工事
建設業界でもICT(情報通信技術)の活用が進んでいます。これによって作業の効率化、安全性向上、現場作業員の負担軽減が可能となりました。我々も早い段階からICTの活用について取り組みを行ってきました。2020年11月に施工が完了した「道央自動車道 苫小牧中央IC工事」は、若手社員によるICT活用が花開いた現場のひとつ。そのときの取り組みについて紹介します。
苫小牧のアクセス強化や
物流支援を目的としたICの開設
2020年11月から利用が始まっている「苫小牧中央IC」。道央自動車道の苫小牧東ICと苫小牧西ICの間にあるここは、苫小牧市内へのアクセス強化、苫小牧港への物流支援、さらに周辺地域の観光支援を目的に開設されました。
この工事が始まったのは2018年。プロジェクトに参加することが決まったとき、土木部工事課の奥山裕介は、気持ちが高揚したと言います。それは、学生時代に自身もよく利用していた道央自動車道に関われるからでした。「走り慣れた道路から新しい景色を見ることができるとワクワクしました」と話します。
このプロジェクトで当時入社4年目の奥山が命じられたのは、ICTの活用でした。「入社2年目のとき、別の現場ではじめてICT建機やドローンによる測量などを経験。少しずつ経験を重ねてきたことをここでも生かすような感じでした」と奥山。また、奥山の同期でもあり、ICT推進部推進課の松浦健太郎も、今回のプロジェクトで奥山を支援することに。実はこの2人、当社のICT活用に関して現場社員の中では先駆者的存在。社内で一番最初にICTに取り組んだのが奥山で、次が松浦だったのです。
困難と思われた作業現場も
ICTの活用で効率アップ
この現場で何よりも大変だったのが、道をつけていくため山を切り崩し整備していく切土や盛土の土工の作業。約3年の工期のうち、半分近くがこの作業だったと言います。つまり、とても重要な作業というわけです。この大事な部分ではICTが活躍しました。
まずは作業に入る前、ドローンを飛行させて測量を行い、専用ソフトで処理、3Dの地形データを取得していきました。奥山は、「最初はドローンで測量したものを松浦に渡し、3次元データを作ってもらい、そのあとの細かいデータ修正などは自分が現場で行いました」と説明。
ドローンによる測量で地形データを取得するメリットは、着工前に地形を把握できる、工事の途中では進捗を確認できる、さらに施工後の精度を確認できるという点だと言います。このドローンの操作に関して奥山は、「テレビゲームのリモコンを操作しているような感覚なので扱いやすかった」と笑います。これまでは測量機を使い、図面を書き起こすという作業に何日もかかり、さらに1人で測量するのが難しいため人手も必要でしたが、ドローンを用いることで、測量も図面の書き起こし(データ化)も1人ででき、日数もそれほどかからずに終わらせることが可能に。「それだけでも時間が短縮されるし、人手もいらないので効率がいい」と奥山は話します。
一般的には、松浦のような社内のICT専門スタッフがすべて担う、または外注に出すというのがよくあるスタイルですが、今回は現場に携わっている奥山が松浦から渡されたデータをもとに3次元データの修正を行い、3DCADを駆使するというやり方で作業が進んでいきました。「その分、苦労もしましたが、やりがいはとてもありました」と奥山は振り返ります。
地域の人に喜ばれるという
やりがいを感じながら次の現場へ
土工が終わると、次に道路を造っていくための下地を整え、舗装に入っていきます。この辺りの作業に関しては、重機や車を走らせるスペースが限られてくるため、どこをどう使って走らせ、どこを通行止めにし、どう作業していくかという施工の流れをしっかり組み立てることが重要に。上司や統括の所長と相談をしながら計画を立てていくのは、「パズル的で大変な部分もありますが、バチっとはまったときの面白さもあります」と奥山。道路の舗装が終わると、のり面と呼ばれる斜面を保護するための作業(構造物を設置したり、辺りの環境にあった植物を植えるなど)も行い、施工完了となります。
木を伐採するところから道路の完成まで携わったことで、「大きな達成感を得られた」と奥山。大きなプロジェクトを完遂したあとは、また次のプロジェクトも頑張ろうという気持ちになるそう。苫小牧中央ICが完成し、開通から3年になりますが、「道央道で近くを通るたびに、盛土で苦労したことなどを思い出します。自分にとっては記憶にしっかりと刻まれる仕事でしたね」と語ります。
開通式典の際、様子を見に行ったという奥山は、「近くにいけないほど行列ができていて、地域の方たちの期待度が高いことを実感しました。実際に苫小牧近隣に住む人からもこのICができて便利になったという声も聞きます」と、地域貢献につながる仕事に携われたことを誇りに感じている様子。松浦も「苫小牧中央ICのそばを走ると、あのとき作った3次元データがこんな風な道路になったんだと感慨深くなります」と話します。
ICTを活用することで
若手も早い段階から活躍ができる
ICT活用について、当社の第一人者でもある奥山は、「これまで建設業界は経験年数が必要とされる場面も多くありましたが、ICTを活用することで、操作さえ覚えてしまえば、若い人でも早くから活躍できる場がおおいにあると感じています。即戦力として活躍できると思います」と前向きに捉えています。
これからICTがますます重要になっていく時代、当社にとって、これらを担っていく若手社員の力は必要になっていきます。ICTを活用し、これからも地域を支える仕事を数多く担っていきたいと考えています。