岩田地崎建設

RECRUITING

建築イケウチゲート

ICTも活用しながら、実物大模型を造って徹底検証

力強いファサードが印象的なIKEUCHI GATE

創業100周年を迎えた2022年、岩田地崎建設が総力を挙げて手がけた新しい複合商業施設「IKEUCHI GATE」が大通に誕生しました。植物が成長していくようなイメージの外観が印象的な建物で、設計を担当したのは世界的建築家・伊東豊雄氏です。我々に与えられている工期は約13カ月。全員が心ひとつにそれぞれの最大限の力を発揮し、完成に漕ぎつけることができました。
その挑戦の軌跡を紹介します。

©︎KAI NAKAMURA

STORY1

新たな挑戦。世界的建築家が設計した
新しい形のビル施工

2022年はIKEUCH GROUPにとっても創業130周年という節目の年。旧ビルを建ててから70年以上経過していたこともあり、同じ場所で建て替え工事が行われることになりました。コンセプトは、「アートとテクノロジーとイノベーションが融合した新しい形のスマートビルディング」。日本を代表する建築家である伊東豊雄氏が設計を手掛けることになりました。

伊東氏が設計したのは意匠性と機能性を追求した建物で、近年多く見られるガラス張りの商業ビルとは異なるものでした。地面から空に向かって力強く成長していく植物を彷彿とさせる葉型のファサードがビルの躯体となっていました。

作業所長である林秀樹は、「伊東先生が設計した建物に携われるのは何よりも光栄なことでしたが、このデザインや設計図を見たときに、これを現場打ちコンクリートでやるのは相当難しい…と思いました」と振り返ります。しかし、我々にはさまざまな難題を切り抜けてきた経験、前例のない工事にも果敢に挑戦し、形にしてきたという実績、そして誇りがありました。「まちづくりへの貢献」を掲げてきた我々が、ここで立ち止まっているわけにはいきません。新たな挑戦がスタートしました。

STORY2

事前準備のための実物大模型製作や
BIMを用いた3D検証

「建物の最大の特徴は葉型の構造体。この施工への取り組みが最大の課題でした」と林は話します。膨らみのある複雑な面構成の葉型構造体を難易度の高いSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)で挑まなければならず、確実な施工を行うためには、入念な事前準備が必要でした。

そこで、可能な限りの問題点の洗い出しを行い、施工精度を高めるため、事前に実物大模型を製作して検証をすることになり、石狩に建物6階の西側の一部分を、同じ西向きで製作しました。

時間と費用、そして検証時に時間をかけずに問題点を検討しやすくするという理由から、木骨を組んでコンクリートを打設。そのあと、梁、柱、壁の組立を行い、柱や壁の鉄筋が鉄骨に干渉する部分をどのように納めるか、どのように折り曲げて定着させるかなどを構造担当者と現地で確認しながら進めていったほか、最新のICTもフルに活用しました。

2次元の図だけで、正確な確認や計画が困難と思われた部分に関しては、BIM(ビム)部門で3Dモデルを作成して検討。BIMを担当した設計部設計課の桑原淳一は、「BIMに起こして初めて分かったことも結構あり、鉄筋1本1本のサイズをすべて計測して鉄筋を発注するなどしました」と振り返ります。BIMを用いたことで施工の効率化ができたとも話します。

また、今回の工事で初めて導入したのが3D計測器でした。主任の高橋真央は、「設計上、3D CADで表現しきれないところ、制作しきれないところがあり、今回初めて3D計測器を使いながら、計測して精度を確認していきました」と話します。

STORY3

試行錯誤を重ねた
事前の徹底検証を経て、いざ現場施工へ

鉄骨・鉄筋工事から型枠、コンクリート工事まで実物大の模型で徹底検証を行い、さらに特殊な塗料を用いた塗装や海外から取り寄せるガラスの扱い、異形のサッシの取り付けに関しても事前に確認を行いながら進めてきました。北海道ならではの雪対策に関しても、IKEUCHI GATEの向かい側に建つIKEUCHI ZONEの屋上に実物大模型を設置し、本番と同様の塗装を施し、雪の溶け方や雪庇のでき方をひと冬かけて検証。見直しや改良を行ってきました。こうして施工上の課題をすべて洗い出し、ベストな対応策を検討した上で現場施工に挑みました。

これまで数多くの現場を経験してきた林でも、人通りの多い中心部でのビル建築は初めて。人との距離が近いため事故の危険性など、考慮しなければならないことが多く、「そのプレッシャーはかなりあった」と言います。仮設工事、足場の組み立てやタワークレーンの組み立て、解体などは夜間工事で行うことにしました。「3車線道路をつぶしての組み立て作業などは日中難しいこともあり、夜間に作業を行いました。日中は躯体の作業を進め、夜間に足場などの架設を行うことで工期はむしろ短縮できたと思います」と高橋は振り返ります。

©KAI NAKAMURA

STORY4

工期内に無事完成。
札幌のランドマークになることを期待

皆の力を結集して完成させることができたIKEUCHI GATE。高い意匠性はもちろん、高断熱化、高性能窓ガラスの採用、高効率設備(空調、換気、照明)の導入により、ZEB Ready(再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合した建築物)を取得しました。発注者、設計者の協力のもと、実物大模型による事前検討ができたことにより、実際の現場施工に反映ができ、無事に工期内に終えることができました。

「日が当たると分かりやすいのですが、シルバーメタリックが光って、葉型の稜線がくっきりと表れ、遠くから見ると陰影ができて厚みのあるとても力強い建物に見えます」と林。設計者の伊東氏からも「イメージ以上の力強さを感じるものができました。細かい部分も含め、岩田地崎さんは本当に丁寧な仕事をしますね」とうれしい言葉をいただきました。さらに、伊東氏からは絵も頂戴し、林は「これは設計に携わっている人にとっては鳥肌もの。伊東先生がこれまで設計した作品が描かれた絵で本当にうれしかったです」と喜びを語ります。

我々が施工に携わったこの施設が、札幌市中心部のランドマークとなり、今後地域の発展につながることを期待しています。

PROJECT MEMBER

阪田 理来

後藤 将也

桑原 淳一

林 秀樹(作業所長)

髙橋 真央

松田 岳

庄子 望